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インプラントの歴史

古代から今でいうブリッジ義歯などが使われており、欧米では見た目の改善を重視した入れ歯、日本では実用性を重視した入れ歯の開発がなされてきました。 18世紀欧米の入れ歯は見た目は自然な歯に近づけるよう工夫されてきましたが、物を食べるという実用性には不向きな物でした。 16世紀日本で開発されていた木製の入れ歯は理論も現在の入れ歯とほぼ同じで、型を取り調整を重ねて作られていた為実用性はある物の、木製なので見た目の自然さはありませんでした。

そんな入れ歯も、19世紀ごろから新しいものが開発されるようになりました。 それは欧米の見た目を重視した入れ歯に日本の実用性を重視した入れ歯の良いところを合わせたような、画期的な物でした。 1800年のアメリカ・フィラデルフィア州の歯科医が、スプリング式で固定していた入れ歯がスプリングを付けない状態でも固定されていることを偶然に発見したことがきっかけでした。

これは、唾液と空気が大気圧によって粘膜に吸着しているという仕組みで、16世紀日本の木製入れ歯はすでにこの仕組みを利用して作られていたのです。 その後、硫化ゴムやポリカーボネート、ポリスルホン樹脂、今も使用されているレジンなどの新しい素材の義歯が開発されていき、今の入れ歯にたどり着きました。

しかし、300年以上に発見されていた理論のまま現在も使われている入れ歯は、先人の知恵の高さに驚かされるとともに難点も多く残っています。 硬いものは食べづらい、間に食べ物のカスが挟まって痛いなどなど...。 改良点は沢山あったわけです。 そこで新たに開発されたのが、顎の骨に金属の人工歯根を埋め込み、義歯を装着するという『インプラント』です。 1950年代、ブローネマルク博士がチタンケースに小型カメラを入れて動物の体内に埋入し骨についての研究をするという実験の際に、偶然チタンが骨と結合する性質があることを発見します。

それがきっかけで、インプラントの研究がすすめられ、1960年代にチタン製インプラントが開発されました。 数々の臨床試験の結果、1970年代にその高い成功率を世界に知らしめました。 入れ歯よりもはるかに自然で、元々の自分の歯に近い感覚であることから、300年以上も同じ入れ歯の理論で歯を補ってきた世界にとって、その技術はまさに革新的でした。

もとは全く異なる分野の研究として進められていた動物実験が、偶然の発見によって革新的な歯科技術を世界にもたらしたのです。