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インプラントの祖

古代から人々が求めてきた、より自然な使い心地・より自然な容貌の回復、という課題を満たす技術が『インプラント』です。 インプラントは1960年代にスウェーデンのブローネマルク博士によって開発され、その後も世界中で改良が重ねられて今ではなくてはならない最先端の義歯技術となっています。 興味深いのは、ブローネマルク博士は最初から新しい義歯技術のための研究をしていたのではなく、骨の形成と血液の関係の研究の過程で偶然インプラントを開発するための要素を発見したという所です。

ブローネマルク博士が行っていた研究の内容は、ウサギの大腿骨に小型カメラを埋入し、血液と骨の形成について研究するという物でした。 最初は小型カメラをそのまま埋入したのですが、血液などでカメラは故障し、ウサギも異物への拒絶反応により死亡してしまいました。 その後も実験を成功させるべく、様々な金属から作ったケースにカメラを入れて埋入したのですが、失敗を続けやっと拒絶反応が出ないチタンにたどり着きました。 チタン入りのカメラは埋入後も無事に作動し続けましたが、取り出そうとしたところ骨としっかりくっついて取り出すことが出来なくなっていました。 チタンは骨の形成途中に骨と結合していたのです。

ブローネマルク博士は、この偶然の発見がきっかけでチタンを医療に有効活用しようという研究を進めていきます。 その研究の中には、骨折治療への利用や義眼への活用もありました。 その中の一つにインプラントもあったのです。 ブローネマルク博士は改良に改良を重ねてインプラント開発に力を注ぎ、高い成功率を誇るインプラントを完成させていきました。

実は、ブローネマルク・インプラントの開発以前もインプラントはありました。 しかしそれらは問題が多く、実用的とは言い難いものでした。 例えば1900年代前半のバスケット型インプラントやスパイラル型骨内インプラントなどはチタンを使っておらずそもそも拒絶反応が出てしまう事から普及しませんでした。 その他にもチタンではない金属を使用した骨膜下インプラントというものもありましたが、細菌感染の懸念があることと、感染すると骨が失われてしまう事からこれも実用的ではありませんでした。

チタンを使用したブレードベントインプラントも、拒絶反応の問題は解決されたものの、骨と結合しないためチタン利用のメリットは充分ではありません。 それらの問題を解決したインプラントが、ブローネマルク博士のオッセオインテグレーテッドインプラントです。

私たちがインプラント手術を受ける上でしっかりと把握しておきたいのは、歯科医院や歯科医の知識によって成功の確率が大きく変わるという事です。 前述した実用性が低く危険性の高い骨膜下インプラントやブレードベントインプラントを行っている歯科医もありますので、慎重に医院選びを行うようにしましょう。